次女対立 亡夫の預金払い戻しは?
夫の相続で次女と決定的に対立し協議不能です。そんな中でも、夫名義の預金を払い戻すことは可能でしょうか。私亡き後は、全財産を長女に譲りたく、次女とは正式に絶縁したい思いです。(70代、女性)
押印必要、長女に任せるのも一案
遺言や遺産分割協議書がなくても、ご主人の預金を払い戻す手続きは可能です。はじめに、各金融機関に相続が発生した旨を伝えると口座は凍結され、以後の出入金はできなくなります。その後、ご主人の戸籍謄本一式など、金融機関指定の必要書類を各金融機関所定の「相続手続依頼書」に添えて提出します。すると、代表相続人に一括での払戻しが行われます。
ただし、この手続きには相続人全員の署名と押印が必要であり、次女の協力が得られなければ手続きが止まってしまいます。協議どころではない状況から察すると、法定相続分通りに代表相続人から各相続人に分配する方法となるでしょう。姉妹の関係はそれほど険悪ではないとのことですから、代表相続人を長女にして手続きを任せるのも一案ですね。
そして、あなた自身の相続については、全財産を長女に相続させたいという気持ちがよく伝わってきました。しかし、いわゆる「勘当」に法的効力がないため、相続権が消えることはありません。たとえ絶縁状態でも、法律上は次女にも遺留分(最低限の取り分)が認められており、遺言で全てを長女に相続させた場合は、遺留分侵害額の請求をされる可能性が残ります。
遺留分の精算は基本的に金銭で行われるため、長女がお金を用意できるかも考えておく必要があります。合意すれば不動産など物で精算できますが、長女に譲渡所得税が課せられるなど、思わぬ負担が生じることもあります。こうしたトラブル回避のためにも、遺留分に配慮した内容で公正証書遺言を作成しましょう。<たのシニア生活彩り倶楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>